道産子の赤黒サッカーノート

北海道コンサドーレ札幌のことを中心に、よもやま話も混ぜていきます。

【J1リーグ2019シーズン第19節】大分トリニータvs北海道コンサドーレ札幌〜前後がバラバラじゃねえか〜

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 今節は各地でいわゆる"誤審"と呼ばれるような判定、あるいは判定を取り巻くやりとりが発生した。毎週火曜日恒例のJリーグジャッジリプレイでももちろん取り上げられ、多くのJリーグファンが未来の競技像を思い描き、その理想が早く実現することを祈ったことでしょう。
 具体的でも漠然とでも、そうした理想を思い描くことは物事の前進においては必要な過程である。筆者が描くのは、VARをはじめとしたテクノロジーの補助を受けながら、運用者はあくまで人間同士であることと、ピッチ内外からリスペクトされる状態。
 サッカーという競技環境は様々。VARのいない環境でも、カテゴリ問わずサッカーが成立できるように。
 きっと問われるのは発信の在り方。Jリーグや選手、審判団。ともすれば中継に携わる方々、報道やコメンテーターの皆様にも深くお願いをしていきたい。
 ひとまずは、ルヴァンカップにおいてVAR含めた審判団がどのような運用をされるのか。完璧を求めすぎるよりも、課題を見つけるきっかけにもなれば良い。

働き方改革の肝は適材適所


 チャナティップが復帰したことで前線にはある程度人が戻ってきた。ジェイが控えるのもバリエーションとして面白い。中盤も駒井や宮澤が控える。
 ただ、よくよく見ると全員復帰ではない。サイドを主戦場とする中野嘉大やCBもできる石川直樹。コンディション的にまだ万全ではないと見える選手は他にもいるだろう。
 シーズン通して万全な状態で戦うというのは実に難しいのだと、改めて考えさせられる。


 大分もまた、怪我による離脱者が出てきたことで万全とは言い難い。
 しかしそれとは別に、試合開始時点ではチーム得点王の藤本をベンチに置き、ワントップにはオナイウが入る。
 試合は90分あり、出場時間の多少よりも意図したシチュエーションの中で藤本の一刺しを見舞おうという魂胆だったのか。片野坂監督の思惑は探り切れるところではないが、結果としてオナイウがこの試合のヒーローとなる訳なので、起用は正解だったと言えそうだ。

冷静と情熱の間

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 札幌は試合開始から極端なハイプレスを敢行。最後方からボールを繋いでいく大分に対し、札幌は守備の基準点たる目の前の相手を常に追い掛け回す(多少語弊あるけど)、所謂マンマークでの対応。
 ソンユンがオナイウをマークするわけにはいかないため、GKも繋ぎに参加できる大分は基本的には11対10でのビルドアップが可能。しかも、GK高木はフィールドプレーヤー顔負けの展開力を有する。高木が自由にプレーできる時間とスペースを与えてしまえば、結局のところ数的不利な状態で、しかもマンマークあるあるの偏った配置から守備を開始することになってしまう。それ故に、武蔵が走る。ここはある程度どうしようもない。
 上図のマンマーク仕様のボール非保持配置を見ていただきたい。セオリーとしては最終ラインは相手+1人を配置するが、この場合はオナイウに対してもミンテが1対1で対応する。もちろん、シチュエーションによってはリトリート、撤退し人数を揃える。要はどういうことかというと、このマンマークは後方に行けば行くほどリスクを抱えた作りとなっている。※ミンテならオナイウに対応できるという前提はある。
 そのためにやることとしては、先述したように武蔵が走ってGKまで封じるというのはそうなのだが、その目的は大分の選手が自由にプレーを選択し実行するための時間とスペースを削ぎ取ることにある。技術的な問題を大分に生じさせることはもちろん、正常な判断を行うために必要な状況把握の時間を与えないことが肝になる。荒野が長谷川を捉えるために中盤を留守にしても、有効に使わせない(深井も不在になったときは流石に活用されたが)。
 試合を優位に進めるためにボール保持率を相手よりも高く取ることが必須でないことは、そろそろ札幌サポーターも実感を持っていることかと思う。かといって、ミシャは相手の良いように主導権を握られることを良しとする監督でもない。ボール保持は譲ろうとも、リスクを提示し試合を動かすべく手を打っていったと言える。

前後がバラバラじゃねえか

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 事実、この札幌のハイプレスに対しては大分も想定の中にはあっただろうが対応を要することになる。試合中の運動量と声量に対しストイックな片野坂監督が開始早々、ベンチにてコーチ陣と打ち手を講ずる。
 札幌としては、この十数分の間で具体的に嫌な思いをさせておきたかった。あるいは、明確に撤退を命じるべきだったのかもしれない。
 というのも、上手くいった場面を作ることができた反面、各所で綻びが出始めていた。
 まずは、武蔵のムーブに無理が生じる。複数の守備の基準点への対応はやはりしんどい。ここで、平素より取り組まれていた撤退守備に切り替われば良いのだが、如何せんマンマークの意識は選手の心に刻まれたままだった。このあたりから、対応に変な柔軟性が生まれていく。瓦解の始まりである。
 徐々に蝕まれつつあるこの時間帯だったが、札幌は先制点を奪う。ルーカス&チャナの個人技から持ち出し、シュートのうまい白井がカットインからシュート。記録上オウンゴールだが、記録以外白井のゴールということで心を整える。
 話を戻す。武蔵は前線のハイプレスを多少諦める。しかし、後方は少しだけ諦めの悪い男たち(語弊しかない)。少しずつ前後の分断が進行していく。
 一人に対して二人で対応する。フリーマンが発生する。プレスが遅れる(けど行く)。もっと良い位置でフリーマンが生じる。致命傷を避けるべく後方はリスクヘッジのためリトリート。およそこのような形が各所で生じる。
 それにしても、大分のビルドアップは、各駅停車のパス回しではなく、1人飛ばして落とす。前向きの選手を作ることがうまい。

生き場所を見つけた白井

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 札幌のボールの保持の形と、大分の振る舞いのひとつ。福森はどこを相手にしても要警戒物件。札幌の左サイド、白井は大外ではなくチャナが落ちてきたことで空いた、いわゆるハーフスペースを活用する。
 菅ちゃんよりもダイアゴナルランのタイミングが合うのか、白井は自分の戦場を見つけたように思える。カットインからのシュートは知っての通りゴールの可能性を感じさせる。福森が持ち場を空けたときのダイナミックお留守番も今のところ頑張っている。
 ここでもう1人、この働きの出来そうな(期待10割)のが岩崎だ。シャドーに入ってチャナの役割をこなすよりも本来の特徴に近いのではないか。この夏にでも出番を求め武者修行に出てしまいそうな、そんな雰囲気もないわけではないが。ごはんを美味しそうに食べる三枚看板の岩崎と檀崎、そして中原にはどうにかJAの親善大使オファーを獲得するくらいの活躍を期待したい。

歪みの帳尻を合わせる差配

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 決勝点を大分オナイウに献上したシーンの少し前。すこぶる画質は悪いが、考えずに感じてほしい。札幌は右から左に攻めており、最終盤のハイプレスを見舞っている。嘘だ。札幌は左から右に攻め、これはビルドアップの過程である。赤丸の印を付けているのは福森。誰がどうという話ではなく(ミンテが迂闊、進藤が詰めてない、白井が悪い、やはり宮澤か等、熱感ある意見が多々飛び交っていたがそれはそれとして)、そこまでのプレー展開の中で生じていた歪み、配置配分の偏りに対しての帳尻を合わせられたように感じる。ここまで非保持の際に爆弾処理をさせ続けたミンテを責めるのも酷だろう。
 強いて言うなら、この状況をある意味必ず気付ける福森から、割り切ったプレー選択をさせる指示が出るべきだったのかなと。当の福森は電池切れのような表情だったが。

進藤のイエローカード(累積リーチ)恐怖症説は妥当なのか

 正直わからない。当人がマスタード色のカードを恐れて激しいプレーが出来ないと言うならそうなのかもしれないし、それなら前半に敢行したハードチャージは別人格によるものなのかもしれないし。
 後半開始後立て続けに3回ミスを重ねたシーンはイエローカード関係なく漠然と不安になったが。
 終盤の失点シーンで相手との距離が遠いと言われた件に関しては、距離よりも角度の方を修正できそう。ソンユンならスペシャルなシュートでなければあの距離で決められる可能性はそこまで高くない。それよりも自身が抜かれた方が致命的になり得る。そのあたりの意識もあって、何でも選択可能なオナイウに対して詰めることよりも構えてコースを塞ぐことに注力したのだろう(憶測)。ただ、結果として進藤の体はシュートコースを全く切れていない。もう少し中央寄りに位置取れば、距離詰めるよりもシュートコースは遮断できる。
 このあたりは結果論でしかない。シュートが宇宙を開発していれば何も言われないシーンかもしれない。もしかすると、飛び出さずに進藤は冷静だった、などと称賛されたかもしれない。

最後に

 ミシャ式は適応までに時間を擁するという意見と、片野坂サッカーの完成度の高さを感じるという意見。
 片野坂監督率いる大分トリニータ、この試合で出場した14選手のうち半数の7人が今シーズンからの加入選手となる。対して、札幌は出場14選手のうち新規加入選手は3人(武蔵、アンロペ、ルーカス)。
 環境もやろうとしていることも違うので何とも言えないところだが、まだまだお互いに伸びしろのある2チームということで。
 夏の補強は置いておいて、武者修行については考えてあげるべき選手が数名いるような。蓋を開けてみてから、このあたりはまたけんとうしたい。
 何はともあれ、そろそろ勝利への飢えが過ぎるので湘南戦は開幕のリベンジに興じることとしよう。