道産子の赤黒サッカーノート

北海道コンサドーレ札幌のことを中心に、よもやま話も混ぜていきます。

【YBCルヴァンカップ2019 グループリーグ第6節】湘南ベルマーレvs北海道コンサドーレ札幌 マッチレポート〜謎解きは早坂の後で〜

 ルヴァンカップは、リーグ、天皇杯に並ぶ国内三大タイトルの1つである。ところが、昇降格があり年間開催のリーグや、全カテゴリのトップを決める天皇杯に比べると、なかなかどうして最優先と言える大会ではない。リーグを中心に据えたメンバー構成で、若手の育成やサブ組のアピールの場として活用される部分も小さくはない。

 ACL参戦の4クラブはグループリーグとプレーオフを免除され、8チームで争うノックアウトステージからの参加となる。昨シーズンあと一歩のところで出場権獲得を成し遂げられなかったコンサドーレとしては、アジアを戦う4クラブ不在のタイミングで敗退するというのは何ともよろしくない。

 そんなことを思ったのかどうかは不明だが(連敗が続いたチームのスイッチを切り替える契機としてルヴァンカップを活用したという意味合いの方が大きかろうが)、コンサドーレはグループリーグにおいて、いくつかのタイミングで必勝の布陣を敷いて臨んだ。その結果、中には大敗する試合もあったが、グループリーグ最終節を残し、プレーオフ進出圏内2位につけていた。

 

ルヴァンだって最終節は本気度が上がる

 先述したとおり、ルヴァンカップへの臨み方は少なからずリーグに比べるとプライオリティの低いものとなる。しかし、プレーオフ進出可能性を残した状態での最終節となると話は変わってくる。リーグ優先ではあるにせよ、結果を求める度合いは高くなる。つまり、モチベーションの面やメンバー構成の面で本気度が上がる。

 しかも、相手は前年ルヴァンカップの覇者である湘南ベルマーレ。コンサドーレはAWAYに乗り込む。HOMEのサポーターの前で、ベルマーレが勝ちに行かない道理はない。

 

みんな恐れた浦和戦からの勢い

 直近のリーグ戦、ベルマーレは浦和レッズに対して劇的な逆転勝利を飾った。誤審を巡るストーリーも合わせ、圧倒的逆境を乗り越えたことによる自信と勢い。この逆転劇はメディア露出も多く、コンサドーレサポーターにとっては、いわゆる"嫌な予感"を得るに難くない状況だ。

 対するコンサドーレはというと、週末には首位FC東京に敗れ、直近の公式戦3試合で得点が取れていない。

 "勢い"や"流れ"が実際に作用するのならば、分が悪いように思えた。

 

スタメン発表は謎解きとともに

 ルヴァンカップでは顕著だが、コンサドーレはスタメンが発表されても、それがたとえクラブ公式からフォーメーション画像付で配信されても、その選手配置には謎がつき纏う。試合開始まで確信が持てない。想定出来るパターンが多すぎる。

 主犯は早坂。早坂が決まれば後は絞れる。たまに荒野や白井が我らを悩ませる。金子くんも聞いてた話とだいぶ違う。

 何はともあれ、負傷離脱者が出たことによって複数ポジションでの起用機会が増えた。チームにとって怪我の功名と言えるように、今後クオリティを高めていってほしい。

 そしてそんな負傷離脱者リストから、石川と中原が復帰。石川に関しては、90分間ピッチで躍動した。夏場の連戦、あるいは累積警告などでどうしても11人だけの力では勝ち続けることの難しい時期を目前に、頼りになる兄貴と、ここから上昇気流に乗っかるはずの大器アンパンマンが復帰してくれたことは、素直に嬉しい。

 対するベルマーレは、直近のリーグ戦スターティングメンバーから6名を起用。コパ・アメリカを戦う代表選出の可能性が報じられる杉岡や、先日劇的決勝点をあげた山根、契約により浦和戦に出場出来なかった武冨も先発となっている。これは、ベスメンではないものの本気で勝ちに来たメンバーと言っていいだろう。

 

キャプテンアラーノの冒険

 荒野がキャプテンマークを腕に巻くのを見るのは初めてではない。しかし、荒野が妙な落ち着きを払って(ミシャからめっちゃ指示出されてたけど)、キャプテンのように振る舞っていたのはなかなかに新鮮。

 自身のファウルでPKを獲得されたシーン、かつてはピッチの穴掘りに興じて敵味方問わず叱責の声に囲まれた彼だったが、その振る舞いは若干大人になっていた。具体的に言うと、キッカーに話しかけたり耳元で囁いたり、去り際にまた囁いたり。それがすべてカメラに収められているのはご愛嬌。キッカーに時間をかけさせがてら、きっと何か圧を与えるようなこと言ってたんじゃないかと。

 そこから少しだけ巻き戻し。PKを与えた直後、荒野は今日の守護神菅野とやりとりをしている。「お願いします」「すみません」。そのあたりの一言二言はあったかもしれない。しかしジェスチャーから察するに、そのやりとりの多くは、直前のプレーでボールロストに繋がった一連のビルドアップについて。お互いにどういう意図があったのか、その擦り合わせに割いているように見えた。

 ゴール前でのパス交換と言えば、直前のリーグ戦、失点のきっかけとなったミスが生まれた記憶はまだ新しい。自陣深くからボールを握り動かすために必要な意志統一。PK直前のタイミングでも修正を図った。この試合の目的と得るべきものをしっかりと捉えていたのだと思う。

 

モテモテ岩崎と湘南守備陣の誤算

 コンサドーレの得点は2つとも中央から。バイタルエリアで前を向いた選手にパスが入り、シンプルにシュートまで持ち込んだ。2点ともに、ボールを奪取後は手数をかけず、ゴールまでは直線的な道のり。

 得点こそあげていないが、いやあげていないからこそ、岩崎の献身を紹介したい。いや本人は献身だなんて思っていないかもしれないけれど。

 ルーカスのゴールシーン。トランジションだが、湘南の守備陣は人数が揃っている。いやむしろ余っている。

 檀崎がゴールに迫ったシーンもそうだが、前半の湘南は随分と低い位置までラインを下げていた。岩崎が左右へ裏抜けを企て続けたことによる果実と言えばそうなのかもしれない。最終ラインのみ重心が下がったことで、コンサドーレのシャドーにはプレスが掛らず。岩崎はゴールゲッターではなくとも、相手のバランスを崩壊させた。

 瞬間の動き、岩崎が裏抜けして相手CBを引っ張り、中央空けてくれる。これが相手守備ラインを下げ、金子の使えるスペースと時間を作る。 

 同時に、デコイランひとつでここまで崩れてしまうほど、リーグで当たったときの湘南は脆くなかった。守備に関しては、無理に奪って裏のスペースを活用させるよりも、遅攻に持ち込ませ、サイドから攻めさせれば対応できるという共通認識があったのか、ボランチの秋野を含めて消極的かつ受動的な印象を受けた。

 

不屈のアクセラレーションと菅野神

 後半開始からお互いにメンバーチェンジ。人と配置、更には意識面の修正も加わったのか、後半の湘南は本来やりたいトランジションのふるまい、攻撃のベクトルを整えた。対するコンサドーレは、1点リードしての後半というだけでなく、グループリーグ突破に向けてはドローでも目標達成となる。先手を取ることに固執するよりも、相手の出方に対して形を変えることで効果的な試合運びをしようという意図が感じ取れる。

 コンサドーレのビルドアップの形は4-1-5。湘南は、4-1の局面で同数対応できるように前線の配置を行う。コンサドーレの前線5に対しては、秋野と最終ラインでの同数対応。後半最低2点が必要になる湘南としては、ボールの保持権を安定させ時間を経過させたくないところ。トランジションを制し、早々に試合を動かしたい強い覚悟を感じた。

 後半早々に、コンサドーレは金子のプロ初ゴールで追加点を奪う。トランジションからの失点となり、湘南は求める展開に伴うリスクを払った形となったが、速い展開の中、確実に決めてしまうのは現役大学生とは思えない金子の強かさを感じたゴールであった。

 しかしこれで湘南というチームが折れる訳もなく。金子のゴールは正当な対価に過ぎたいとでも言うかのように、引き続きブレずに前線からプレスをかけていく。PK獲得のシーンも、同数を配置したことにより前線のプレスが嵌まったことでのボール奪取が起点となった。

 終盤、湘南の強みが生かされる。人数を掛け中央を制圧したことで、ボールと人の落ち着かない時間と空間を生みだす。ペナルティエリア内に侵入する機会も増え、次々と決定機を生み出す。

 対するは、ルヴァンカップでサポーター評価うなぎのぼりの菅野神。さすがにペナルティエリア内からのノーチャンスとも言えるシュートで2失点を喫したが、コースが甘ければすべて止める。DF陣も立て直す余裕を持てない中、ヨモさん時代を思い起こさせるような、体を投げ出してのシュートブロックで最終局面をしのいだ。

 

湘南とダブるキングダムの世界観

 大した意味はない。最近1巻から読み直したせいか、湘南というチームとキングダムの世界観・価値観をダブらせてしまう。

 目的が明確なのでやり方もシャープになっているというか、自分と相手の立ち位置だったり、チーム内の相互理解だったり、チームとして機能しているのだと思う。そしてその中心には監督がいて、サポーターやファン、地元もひっくるめて強さが出せるチームなのだろう。正直、かなりぼやっとしたイメージではある。

 

最低限の目的は達成

 次のステージに進めるという点で、最低限の目的は果たせた。昨年の決勝まで進んだ2チームと同グループだったことを考えると、最終節までもつれたのはある程度はやむなしと言える。

 5/22時点でのリーグ順位表と照らし合わせてみる。ルヴァンカップグループリーグ敗退となったJ1クラブの現時点リーグ順位は、3位、6位、9位、13位、15位、17位、18位。選手層の厚みが必要な大会構成の中、リーグ好調の大分の敗退は、仕方ない部分もあるか。

 

王の帰還

 ジェイの復帰が近い。本人曰く、週末のG大阪戦から試合に出たいとのこと。リーグ戦においてもそうだが、ルヴァンカッププレーオフに向けてもこの選手が帰ってきたのは心強い。古巣磐田との試合でも、高さと巧さを以て活躍してもらいたい。

 

最後に

 HOME&AWAYで試合をし、グループリーグ4チームのうち、上位2チームが次のステージに進む。ルヴァンカップはこのあとプレーオフを挟むが、やり方としてはACL本戦と同じようなレギュレーションになる。アジアに挑戦する予行演習として、課題も多く見つかったことと思う。

 ACLを戦うならば、育成のやり方も変えなくてはならないだろうし、編成も変わってくる。まだ何も得ていないタイミングではあるものの、そんな仮の話を脳内に巡らせながら、今いる若手選手を見ていこうと思う。